鉛玉による中毒死

猛禽類や水鳥などが、狩猟に使われる鉛玉を飲み込むことで中毒死をしていることは、「お散歩で出会う生き物達」のクマタカのページで触れました。

鉛玉によって駆除されたエゾシカの死体が放置、または食用に適さない部分が捨てられ、それを食べたワシ、タカなどの猛禽類が鉛中毒になって死ぬのです。
なぜ飲みこんでしまうのかというと、鉛玉は獲物の体内に小さな破片となって散らばるので、肉とともに気づかないまま食べてしまうのです。
また水鳥は、消化を助けるために小石を飲み込む習性があるので、散弾銃の鉛玉を小石と間違えてしまいます。
その症状はものすごい苦痛をもたらし、大変むごい死に方をします。

そして、ひどい死に方をしていく生き物達をなんとかしなければならないのと同時に、エゾシカの駆除が10万頭を超える今、人間にとっても猛毒である鉛がばらまかれているのはとんでもないことではないでしょうか。

再度書かせていただきますが、本当に誇りを持って仕事をしているハンターの方々は、決してこんな無責任なものを使うようなことはしないと思うのです。命を扱う仕事ですから。
むしろハンターの方のほうが、この問題を真剣に考えている方が多いのではないでしょうか。
ですから一部のハンターが、知識や意識の不十分から鉛玉を使っているのだとしたら、ひどいイメージダウンになっていると思います。

ウクライナの戦争で弾が手に入りにくくなっているとも聞きます。
いろいろ困ったことが起こっているのだろうなと推察します。
ですが、どうかお願いです。
理不尽に苦しみながら死んでいく命がなくなるように。
今すぐ、鉛玉の使用をやめていただきたいと心から願うのです。

一冊の本を紹介したいと思います。

北海道の釧路湿原内にある、野生生物保護センターで野生動物の獣医師をなさっている方の本です。

シマフクロウやオオワシ、オジロワシ、クマタカといった絶滅の危機に瀕する鳥達の救護と治療、野生復帰への取り組みなど、多くの方に知ってほしい内容です。
鉛中毒についても詳しく書かれています。

生態系の頂点に位置する猛禽類を守ることは、広い範囲の生態系、生物多様性を保全する傘となると書かれていました。
とても大切なことですね。