かわいい写真集が評判になり、ここ数年ですっかり人気者になったシマエナガ。
カメラを持って歩いていると、シマエナガってどこにいますか?と聞かれることが度々あります。
実は、かなり身近なところに住んでいて、鳴き声さえ知っていれば出会う機会はとても多い鳥なのです。
秋から冬にかけては群れとなり、群れが近づいてくると、空気までキラキラしているように感じるほど賑やかです。
(詳しくは、お散歩で出会う生き物達のシマエナガのページをご覧ください。そちらに写真もたくさんのせています。)
そんな彼らですが、やはり人気がでるといろいろ困ったことが起きてしまうのも事実です。
かわいい、という気持ちを大切にしながら、彼らを危険から守るために知っておいたほうがいいことを書きたいと思います。
出会いは秋から冬がオススメ!
先ほど書きましたが、この時期シマエナガは群れになるので、とても見つけやすくなります。木の葉も落ちているのでなおさらですね。
「混群」といって、別の種類の小鳥達と混じって大きな群れになっていることもあります。
また、雪の妖精といわれる姿になるのもこの時期です。
春のシマエナガはそっとしておいてください!!
ここからが大事なことです。
シマエナガは雪解け前からつがいの相手を探して、早い時期から繁殖のための巣作りを始めます。
春、雪解けがすすんで暖かくなると、人も外に出て野山にでかけることが多くなりますね。
そんなときにシマエナガを見つけるとテンションが上がると思います。
なかにはカメラを持って写真を撮る人もいるでしょう。
ところがこの時期、シマエナガは非常に神経質になっているのです。
彼らに限らず、小さな小鳥の子育ては命がけです。周りは敵だらけで、いかにして巣を隠し、卵やヒナを守るのか必死なのです。
時として、彼らの方から人間に近寄ってくることもあります。
そんな時の人の反応は、かわいいーとか、挨拶に来てくれたーといったものかもしれませんが、実際は逆です。
警戒したり、追い払いたくて威嚇にきているのです。
そして、巣作りの途中であまりにプレッシャーを与えてしまうと、せっかく作った巣を放棄してしまうのです。営巣放棄です。
彼らの巣は、苔や地衣類をクモの糸やガの繭糸で縫い付け、卵をのせる場所には鳥の羽などフワフワしたものを集めてきて敷き詰めます。
鳥の羽は、なんと1,000枚以上になるのだとか。どれだけの労力で集めるのでしょう。小さな小鳥のそんな営みを無駄にさせてはなりません。
巣を放棄すれば、もう一度作り直さなければならないのです。
野鳥友達Hさんは、生き物について講演なども行うプロですが、Hさんから聞いたところによると、巣を作っている場所から50〜80メートル、完成間近で仕上げに鳥の羽を集めだした頃は、20〜50メートル以上離れていないと営巣放棄の危険があるそうです。
(特に前抱卵期〜巣材運び後半〜に50m以内に接近すると、容易に営巣放棄する。)
そして何より、シマエナガを見つけてカメラを向けたり、双眼鏡で覗いている人間を、別の方向からじっと見ている目があることをご存知でしょうか。
ハイタカやオオタカといった猛禽類。そしてカラスたちです。
非常に賢い彼らは、人間が見て喜ぶものがなんであるかを知っているのです。
実はシマエナガがブームとなってから、彼らの子育ての様子を撮ろうと、巣を見つけてカメラを向ける人が増えました。
ですがそれは、天敵にシマエナガの巣の位置を教えてしまっているのです。
結果、襲われて卵やヒナ、時には卵を温めているメスごと食べられてしまうことがあります。
タカやカラスが悪いわけではありません。
彼らも繁殖のため、たくさんの食べ物を必要としています。
やはり、考えなければならないのは人の行動なのです。
では、写真集などの写真がどのように撮られているかというと、一度プロの現場というものを垣間見たことがあるのですが、見張りを立てて天敵を警戒しながら様子を見て、巣作りの段階や日数から産卵や巣立ちなどの予測を立て、やはり見張りを立ててブラインドテントを設置、その中から撮影といった、非常に気を使ったものでした。
そうでなくても小鳥の巣は、常に危険にさらされています。
巣が10個あっても、ヒナが無事に巣立ちできるのは2個くらいでしょうか。
さらに人間が危険を招くような真似をしてはならないと思います。
そしてこれはクマゲラなど他の鳥達にも言えることで、懸命に子育てをしている親鳥たちの妨げにならないように、充分気をつけていただけたらと思います。
書き忘れました!!
夏ですが、ヒナが巣立った後に山奥へ移動するので、出会う機会が少なくなります。
→写真をご覧になりたいかたは、シマエナガ のページを見てください。