写真がないのでここに載せるか迷ったのですが、印象的な出会いがあったので書きました。
ずいぶんと前の事。たぶん20数年前です。実家の犬をつれて雪解け近い山を歩いていた時です。(こう書くとすごい山歩きをしているみたいですが、実家の近くにあるスキー場を歩いて登っただけです。)
実家の犬はセッターだったので、そこそこ大きな体だったのですが、お調子者で気が弱いところがありました。
歩いている途中で、急にカラスたちがギャアギャア騒ぎながら近づいてきたものだから挙動不審に。
それをなだめていると、白い物が飛んできたのです。
フクロウでした!
騒いでいるカラスはハシブトカラス。かなりの数です。
大変だ!フクロウがカラスに追われていると思った瞬間、目の前の木にとまったフクロウと目が合いました。
その時のフクロウの表情が忘れられません。
怖くて怖くてたまらない顔。困惑の顔。
鳥の感情をあんなにはっきり見て取ったのは初めてだったかもしれません。
しかし、ハシブトガラスです。
犬と共に追い払おうと頑張ってみましたが、頭の良さと集団の力を持つ彼らに、しかも地上から対抗できるわけもなく、フクロウは再び飛んで逃げ、カラスが追っていきました。
どうなったかわかりませんが、そこは森の中で密集した藪がたくさんある場所。どうにか飛び込んで逃れてくれればと、フクロウの姿が消えた辺りを見ていると、フワフワとしたものが落ちてきました。
それはフクロウの羽根。
その羽を見るたびに春のできごとを思い出すのです。
さて、そのフクロウですが、カラス以上に追い詰めているのは、やはり人間。
身近なところでは、私が子供の頃は深い森であったところに広大な墓地が作られて、最近、それを広げるためにさらに森が切り開かれて、無残な姿になってしまいました。フクロウの大切な生活の場だったのですが。
同じくゴルフ場になってしまったところもあります。
一方で、公園などにフクロウが現れると、人がたくさんたくさん集まります。
ずらっと並ぶカメラ。距離をあけているならまだしも、フクロウがいる樹洞の目の前で、椅子に座って居座る人。
クマゲラやシマエナガの巣でも同じようなことがありますが、どうなのでしょう。
あくまでも私の目線で物を言いますが、その写真、本当にいい写真でしょうか?
カメラの性能の話よりも先に、目の前にいる彼らの生き様を尊重してあげて欲しいと願います。
もう一つ、こちらは素晴らしい取り組みだな、と思ったことがあります。
青森のリンゴ農家さんが、ネズミが木の皮を食べて枯してしまう被害を減らすために、果樹園にフクロウの巣箱を設置しているというものでした。
食物連鎖をうまく利用して被害を食い止め、フクロウの保護にもつながるなんて、本当にいいですね。
実際、ネズミの被害が大幅に減ったそうです。
こういった取り組みがどんどん広がればいいなと思います。
ちなみに北海道のフクロウはエゾフクロウ。本州のものとは鳴き方が違うという方もいます。
体長は50センチほど。(オス、メスの外見上の違いはありません)
フクロウの住む樹洞ですが、とても長い年月をかけて作られていくものです。
人が森を伐採した後で元に戻そうとしても、そう簡単に戻るものではありません。
巣箱をかれればいいじゃないかと言う人がいますが、実は樹洞には素晴らしい秘密があって、樹洞に暮らしている菌類や虫たちが、フクロウのヒナが病気にならないように守っているのです。
つまり、ヒナの糞やペリットとよばれる吐き戻しを分解して清潔な環境を保ってくれるのです。
そのため、何年も同じ樹洞を使っていたとしても、なんら問題はありません。
自然は本当によくできているものだと思います。