3月末、春の訪れとともにモズたちがやってきます。
尾羽をピコピコ上下させたり、くるっと回してみたり。可愛さ満点!
でもよく見ると、くちばしの先がかぎ状になっていて鋭い。やはり猛禽類ですね。
おもしろいのはその鳴き声。
本来の鳴き声の他に、オスはさまざまな鳥たちの鳴き真似をするので、一箇所からいろいろな鳥の鳴き声が聞こえるという不思議な現象がおきます。
鳴き真似が上手にできるのは、優秀なオスの証なのだとか。
(写真はクリック、またはタップすると大きくなります)
体長は20センチほど。
鳥や小さな哺乳類、カエルやトカゲなどを襲い、獲物を串刺しにする「はやにえ」が有名ですが、私が見るのは子育ての時期で、虫が豊富にいるせいか、虫以外の獲物を捕らえているところはあまり見たことがありません。ミミズを掘り出したところに出会ったことはありますが。
秋には本州へ渡るので、それからはやにえを作ったりするのでしょうね。
我が家の近くの散歩道では、毎年2〜3組のつがいが子育てをしています。毎年のことなので春一番に出会うと、おかえりなさい!!と声をかけてしまいます。
私のモットーは「巣は探さない。近寄らない!子育ての邪魔をしない!」なので、詳細な子育ての様子は撮影できませんが、お父さんとお母さんが、せっせと虫やミミズをヒナのために運ぶ姿や、初夏に巣立ったばかりの幼鳥たちに会えるのがとても楽しみなのです。
夫がプレゼントしてくれたコンパクトカメラで初めて撮ったのもモズでした。まだカメラの操作が全然わかっていなかった時のことです。
4月末の夕方。散歩に出ると変な声が聞こえてきたので、足音を立てないように進むと、地面で二羽のオスのモズが取っ組み合いのケンカをしているではありませんか!
さっそくカメラを向けたけど、ピントが全く合わなくて半べそをかきました。
繁殖のためのテリトリー争いだったのでしょう。一羽は茶色味が強く、もう一羽は灰色味が強かったので、この二羽は個体識別ができました。
勝ったのは灰色くん。その後、お嫁さんも見せてくれました。
茶色くんは少し離れたところをテリトリーにしたらしく、こちらも無事にお嫁さんが来てくれました。よかったよかった。
また、モズにも性格があるようで、私が道を歩いていても、たいして気にしない子もいれば、とんでもなく遠くからギチギチギチギチ キュンキュンと警戒鳴きをする子もいます。
6月のある日、あまり気にしないつがいのテリトリーを通りかかった時でした。
いつもはしらんぷりのオスとメスが、その日に限ってすごい勢いで威嚇してきたのです。
これはもしかしてと目をこらすと、いました! 巣立った小さなヒナが。
小さな尾羽をピコピコと揺らしています。なんてかわいい!
しかし、これはすぐに離れなければなりません。お父さんとお母さんに心配をかけてはならないのです。二羽は子供を守るために必死です。
また、私のせいでカラスなどに見つかって襲われたら大変!
私は忍者のごとく辺りを警戒して、30秒だけ動画を撮らせてもらって、ごめんごめんと去ったのでした。
数日後。再び同じ道を通ると、ヒナが木の枝にとまっていました。
先日と同じヒナなのかはわかりませんが、クリクリとした賢そうな目でこちらを見ていました。
個体識別ができないのでヒナが何羽いたのかわかりませんが、その後、10月に本州に向けて飛び去るまで、徐々に独り立ちしていく様子を見ることができました。
幼鳥が自分で虫を捕らえた時の嬉しそうな顔は、本当にかわいいです。
(下の写真は、動画の子のお父さんとお母さんです。お父さんは尾羽がボロボロ。命がけの子育てだったのかな)
あの小さなヒナは、無事に津軽海峡を越えたでしょうか。
あの小さな翼で海を渡っていくのです。すごいことです。
無事に帰ってきた時に、この地がやさしく迎えられますように。
追記
2023年も巣立った幼鳥に会えましたよ。
2023年 6月の記録 をご覧ください。
かわいいメスの写真がとれました。頭がかゆいかゆい。
詳しくは、2023年 10月の記録 をご覧ください。